本格的なアフタヌーンティーの食べ方には、おおよその「手順」があります。
アフタヌーンティーは英国貴族が生んだ習慣であり、またそれを日常生活に浸透させた英国人の気質も相まって、「アフタヌーンティーの作法」が確立されたわけです。
しかし、食事は「楽しむ」ことが大切です。格調高い高級ホテルで提供されるアフタヌーンティーセットをいただくときでも、正式なマナーや作法についてそれほど口うるさく言われることはありません。
「いったん甘いケーキに手を出したら、二度とサンドイッチに戻ってはいけない」などと口うるさく言うほうがむしろ野暮ったい、と昔の英国貴族は考えていたのでしょう。
アフタヌーンティーという優雅なひとときをゆったりと楽しむのが一番のマナーです。
ここではあえてアフタヌーンティーを召し上がる際の──正式とされている──手順と味わい方を説明しますが、あくまでも基本に過ぎないとお考えください。
いったん味わい方を覚えてしまえば、あとはお好きなようにおしゃべりや読書、音楽を楽しみながら召し上がるのが一番です。
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「自宅で本格アフタヌーンティーセットを楽しむ方法」はこちら
※テノール齋藤の「
新潟でフレンチトーストを食べた」はこちら
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アフタヌーンティー講座、紅茶講座はこちら
1.アフタヌーンティーの3要素
アフタヌーンティーのケーキスタンドは、主に3つの要素で構成されています。
サンドイッチ、スコーン、ペストリー(ケーキ)です。
ここに紅茶が付けば、それだけで本格的なアフタヌーンティーです。
逆にいえば、これ以外の要素は添え物。たとえばサラダやピクルスなどは「オマケ」です。
召し上がる順序も、基本は「サンドイッチ、スコーン、ペストリー」の順です。あくまでも基本ですから、スコーンから先に食べても、つい甘いものに手が伸びても、それはそれで結構でしょう。
基本があるといえどもお食事ですから、楽しむのが一番です。「あ、もうケーキ食べたんだからサンドイッチはダメでしょ!」なんて目くじら立てたら、せっかくのお茶の時間がピリピリして、顔まで険しくなってしまいます。
元はといえばお腹をすかせた貴婦人(ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリア)の「つまみ食い」から始まったらしいアフタヌーンティーです。本当の貴族らしく、ゆる〜くまいりましょう。
では、軽くサンドイッチをつまみながら、3要素について順に説明していきます。
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スコーンの食べ方はこちら
2.アフタヌーンティーのサンドイッチ
アフタヌーンティーにいただくサンドイッチは、昔は「キュウリサンドイッチ」が定番でした。
言ってみれば、カッパ巻きの英国版ですね。
※右の写真は「特別な日のアフタヌーンティーセット」
農園を持ち、農作業をする者たちを雇い、収穫したばかりの新鮮なキュウリをパンに挟んでアフタヌーンティーに食べるなんて、よほどの余裕がなければできない贅沢でした。
つまり、昔はキュウリサンドイッチが貴族のステイタスだったわけです。
現在のアフタヌーンティーは、そんな些細なところにこだわりません。夏の採れたてキュウリはおいしいですが、キュウリにステイタスを見いだす人もいないでしょう。
新鮮な季節の野菜や、健康的な食材を使って、おいしくて贅沢なサンドイッチがケーキスタンドに載せられます。
もちろん、アフタヌーンティーの歴史を知り、昔をしのんで採れたてのキュウリを挟んだサンドイッチを載せてみるのも素敵な食べ方です。
英国紅茶サロン「メイフェア」のアフタヌーンティーセットは、旬の野菜と無添加の食材で作られています。安心して召し上がってくださいね。
3.アフタヌーンティーのスコーン
さて、アフタヌーンティーあるいはアフタヌーンティーセットといえば、やはり
スコーンを真っ先に思い出す方も多いことでしょう。
日本人にとっては好き嫌いが分かれるようですが、いかにも英国らしい食べ物といえます。
スコーンは、「小麦粉を練って焼いただけ」に近い、シンプルで家庭的なお菓子です。
アフタヌーンティーでスコーンを楽しむのに、切っても切れない存在が、クロテッドクリーム。
簡単にいうと生クリームとバターの中間のようなもので、温かいスコーンにたっぷりと塗って食べると、それはもう格別です。
スコーンが嫌いな人は「スコーンのパサパサ感がイヤ」と言いますが、ちゃんとクロテッドクリームをどっさりのせて食べれば、パサパサ感なんてこれっぽっちもありません。
← これとまったく同じスコーンが通販で買えます。
ほかにも何種類かスコーンがありますから、食べ比べてみるのも楽しいかもしません。
通販のお取り寄せページにも、スコーンの食べ方が書いてあります。参考になさってください。
※新潟市でスコーンのテイクアウトをするなら、メイフェアでもフェルマータでもご用意しています。
※おいしいスコーンの食べ方はこちら
さらにイチゴやブルーベリーなど、ベリー類のジャムを塗れば、すばらしいごちそうに早変わりです。
スコーンは、そのままの状態では未完成だと思ってください。クロテッドクリームとジャムで完成させるのです。
未完成なままかじりついて、「パサパサ感がイヤ」なんて嫌ったら、スコーンが気の毒ですよ。
4.アフタヌーンティーのペストリー(ケーキ)
アフタヌーンティーの正式な順番で、最後を飾るのは甘いケーキ類です。
フルーツのタルトやパウンドケーキなどのケーキは、本当に紅茶によく合います。
できれば、グラニュー糖や上白糖のような精製糖を使っていない、体に優しいスイーツが良いですね。
ただ、グラニュー糖のストレートな甘さに慣れた現代人は、舌の味蕾(味を感じる細胞)が鈍感になっているので、ファーストフードのような濃い味つけや強い甘さを好み、優しい味を「探しながら味わう」のが苦手になっています。
「いつも濃い味つけになじんでいるかも」とお感じなら、メイフェアのパウンドケーキを
じっくり時間をかけて召し上がってみてください。アフタヌーンティーセットには必ず付いてきますから。
そうすることで、舌が本来の機能を取り戻します。時間はかかるかもしれませんが、ご自身の舌を「教育」するつもりで、楽しみながら味わってみてください。
先日も、しみじみとした様子で「あ〜、やっぱりこのパウンドケーキが一番好き」とおっしゃっていたお客様がいました。「しみわたる」のだそうです。
5.本格的なアフタヌーンティーセットの見分け方
「本格的なアフタヌーンティーセットの見分け方は?」と聞かれることがあります。
それほど「本格」にこだわらなくても、気軽に「アフタヌーンティー的なイベント」を楽しめばいいと私は思っています。
IATA(国際アフタヌーンティー協会)からのご依頼でアフタヌーンティーの解説文を書いているというのに、私の個人的な意見を言ってはいけませんね。
「質の高いアフタヌーンティーセットを探している」ということであれば、そのお手伝いは喜んでさせていただきましょう。
アフタヌーンティーセットとして、どうしても外したくない条件は、次の3つです。
●2段または3段のケーキスタンドで提供される
●サンドイッチ、スコーン、ケーキの3種類がのっている
●クロテッドクリームが添えられている
さらに、次の3条件まで満たしていれば、質の高いアフタヌーンティーセットとして大いに期待していいでしょう。
・ティーカップと茶葉が上質
・スコーンがしっかりしている(パンみたいにフワフワしていない)
・ケーキが上品な甘さ(甘すぎず、できれば精製糖を使っていない)
以上、「本格的なアフタヌーンティーセットの見分け方」でした。
まあ、細かいことにはこだわらず、「楽しむ」ことが一番ですよ。
6.季節によってこんな変わり種も──
アフタヌーンティーは、季節によってさまざまなアレンジもできます。
「デザート盛り合わせ」ではなく「アフタヌーンティー」と呼ぶからには、スコーンは外せないとかクロテッドクリームはほしいとか、紅茶が上質でないとといったご希望はありそうですが、たまには変化を楽しむのもまたよろしいのではないでしょうか。
たとえば下の写真は、クリスマス時期に限定で提供される「クリスマス・アフタヌーンティー・セット」。サンドイッチ、スコーン、ケーキ類という原則は守りながらも、
ケーク・サレ(甘くないお食事パウンドケーキ)がのったり、クリスマスらしい素敵なグラスが使われたりしています。
クリスマスアフタヌーンティー……お一人様3000円
こちらは、「和のアフタヌーンティーセット」ですね。年末年始の「いかにも日本的な雰囲気」の時期にだけ提供される、その時期に忙しい方はなかなか召し上がれず目にする機会もない、幻のアフタヌーンティーセットかもしれません。
和のアフタヌーンティーセット上段
サンドイッチの代わりにおにぎりがあったり、玄米の粒が残るぷちぷち玄米もちの「きなこ餅」が上段にのっていたりして、この時期の雰囲気を堪能させてくれます。
写真の右奥にちらっと見えるのが、黒豆の入った抹茶パウンドケーキです。新潟県村上市で生産される抹茶を100%使った贅沢なケーキで、毎年この季節の人気商品ですから、ご予約はお早めにどうぞ(電話
025-211-7007)。
和のセットらしくほうじ茶も付き、「自家製糀ドリンク」も選べます(2015年末)。バタバタしがちな年末年始に元気に生き返りそうな栄養満点のアフタヌーンティーセットです。
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