●本物のハーモニーはきわめて稀な体験
「ハモる」とは通常、複数の異なる高さの声を同時に合わせて和音を構成し、その連続により和声(ハーモニー)を生み出す行為を指す。
「ハモる」という日本語自体は、いかにも略語や造語が好きな音楽界の俗語だが、讃美歌の多くが四声で構成されていることからもわかるように、西洋音楽ではたいへん古くからおこなわれている、由緒正しい伝統的な手法だ。
ハモるというと合唱やゴスペルをまず思い浮かべるかもしれない。オラトリオなど宗教音楽がお好きな方ならベルカント(イタリアの伝統的な発声法)による「究極のハーモニー」がイメージできるかもしれないが、実際に自分がハーモニーの中に入って味わった体験はたぶんまだないだろう。
仲間と鼻歌で軽くハモる程度ならともかく、本物のハーモニーは、きわめて稀な体験だからだ。
●ハーモニーの作り方
あなたが体感できるのは少し先のことになると思う。それでもあえて予告──あるいは予言──しておくと、「この世のものとは思えないくらい強烈な快感」だ。
宗教のことはわからないが、一種の宗教的体験(法悦、恍惚)と呼べるのかもしれない。「この世のものとは思えない」とは、そういうことなのだろう。
歌っている本人だけでなく、聴いている人までが、「ずっとこうしていたい」と願うほど強烈な快感に体の芯を貫かれ、包まれる。
完全にトランス状態になるからね。それも、そうとう深いトランス状態。
「ずっとこうしていたい」でありながら、「一瞬ですべてを味わう」感覚。あなたには、そんな究極のハモりを体現してほしい。私たちと一緒にみんなで究極のハモりを作る試みに参加してほしい。
ベルカントでハモりたいなら、こんなコラムなど読んでいないで実際にメイフェアで声を出さなければしょうがないのだけれど、今日明日に到達できる境地ではないから、「ハーモニーの作り方」を簡単に説明しておこう。
通常のハーモニーは、次の手順で作られる。小中学校の合唱の時間を思い出すとわかるだろう。
1. 自分のパートを正確に歌う
2. 他のパートに引きずられないように歌う
3. 他のパートを聴きながらハーモニーを合わせる
通常はこの第3段階まで至れば上出来といえる。「あのグループ(デュオ)、ハモりがうまいよね」と評されることだろう。
しかし、「歌声の会」(メイフェアで日本の古い唱歌を歌う会)があなたと一緒に目指すハーモニーには、さらに上がある。
4. 自分がハーモニーの一部になり、むしろ自分がハーモニーにリードされている感覚に浸る
5. 宗教的法悦とも呼べる感覚に貫かれるのを体験する
というレベルが待っている。これほどの究極的なハーモニーが作れるのは、完璧な発声技術(ベルカントを基礎とする共鳴発声法)があればこそ。
じっくり取り組む価値がある。私など究極のハーモニーはライフワークだと思っている。
●何を合わせるのか
強烈なハーモニーは、「高さ(ピッチ)を合わせる」だけでは生まれない。
一人がド、一人がミ、一人がソで歌えば、いちおうハモる。しかし、声量のバランスが悪ければ、良いハーモニーにはならない。
声量の「バランス」とは、「同じ声量」を意味しない。だから「バランス」なのだ。
しかも、絶妙なバランスが取れたからといって、声の質が違えば合わない。油絵具で描いているところに色鉛筆で背景を塗っても、違和感が大きいだろう。ポップスグループにオペラ歌手が混じっても浮くし、ゴスペルグループに演歌歌手が混じってもなじまない。
発声法をそろえて「声の色」を合わせないと、究極のハーモニーにはならないんだ。
ほかに、リズムや呼吸も合わせる必要がある。ここまで来ると、「体が合う」レベルに至る。
声が合い、息が合い、意識が合い、身体が合うという、存在のすべてが合っている境地──
心理学でいう「チューニング」が完成した状態(ペーシングやミラーリングといった技術が目指そうとする最終的な状態)といえる。
これがきわめて稀なハーモニーを体験する条件だ。読んでいるだけで「難しそう」と腰が引けてしまったら、ごめんなさい。でも、ビビらせるつもりはなかった。あなたにハーモニーを手伝ってほしいだけ。
究極のハーモニーを作る体験がしたいなら、「
歌声の会」か「
声のサロン」で待ってます。
※声のサロンを受講したい方は、メイフェアまで予約のお電話(025-211-7007)をお願いします。
声のサロンの詳細については、こちらのページに説明があります。
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