●「同僚に声を褒められました!」
ことば学講座の受講者からは、レッスンの成果に関する報告メールがよく届く。昨日は「同僚に声を褒められた」といううれしい報告があった。
うれしいなぁ。
今回は、メイフェアのメニューの話ではなく、ことば学講座や声のサロンのテーマである「声」の話をしよう。
「声のキャパシティを大きくしておこう」という話。
今、車の調子がおかしくて、しばらくレンタカーに乗っている。この車はエンジンの容量があまり大きくない。
「安全第一」の運転を心がけている私でも、ときどき「エンジンががんばっちゃってるなぁ」と感じる。特に信号待ち後の発車時などには「うぃ〜ん」とうなる。高速道路を走ると、加速時には悲鳴が聞こえるかのよう。
かといって、行き交う車が性能によってそれぞれまったく違う速度で走っているわけではない。軽自動車が時速60kmで走り、私がその横を150kmで追い抜き、スーパーカーが300kmですっ飛んでいくわけではないのだから。
街中ならみんな40〜60kmくらいで走っているし、高速道路でも100kmちょっと。中には「あいつ200kmくらい出ているんじゃないか」という猛スピードで追い抜いていく不届きな連中もいるが、そういうのはほら、特殊だから。
だいたいみんな同じ速度で走っているし、少なくともそういう決まりになっている。車の性能はそれぞれかなり違っても、動作そのものはさほど変わらない……ように一見思える。
しかし、よく見たり聞いたり感じたりしてみれば、「うぃ〜ん」と叫び声を張り上げている車もあれば、余裕で走っている車もあって、動作の安定性がまるで違う。
●キャパの違いが快適さの違い
発声についても、似たようなことがいえる。「通る声」が身についていなくて、接客や非常時に際して張り上げる声が痛々しく聞こえるのは、エンジンの「うぃ〜ん」がつらいのと同じ。
発声の初心者でも、3m先にいる相手になら声を届けられる。ふだんの生活では十分な距離かもしれない。
しかし、5mの距離にいる相手に話しかけなければならなくなった瞬間、差が生まれる。ちょっとがんばって声を張り上げなければならない人と、30mでも余裕で声を飛ばせる人が余裕をもって5mの相手に届ける声とでは、聞いたときの快適さがまるで異なる。
「聞こえるか聞こえないか」ではない。「聞こえているから大丈夫」でもない。
キャパシティ(能力の容量)が違うと、聞き手に与える快適さが異なるのである。
●相手をきもちよくする声
さらに言えば、キャパシティの幅は距離だけではない。「やわらかさ」「力強さ」「温かさ」「優しさ」といった要素もまったく同じ。
ものすごくやわらかい声が出せる人と、がんばっても堅めの声しか出ない人がふつうにしゃべっていたら、前者のほうが格段にきもちいい。
最高に優しい声が出せる人と、がんばっても比較的冷たい声の人とでは、ふつうにしゃべっていても前者のほうが格段に相手を癒す声になる。
声のトレーニングで「声のキャパシティ」を大きくしておこう。
●次回のことば学講座は「きもちよくさせる声」
次回のことば学講座(2010年5月29日)では、「相手をきもちよくさせる声」の発声法を取り上げる。
聞いているだけで癒される声、きもちよくなってしまう声、ドキッとしてしまう声――そんな声は、どうすれば身につけられるのか。
なぜあの人の声は「癒し声」なのか、なぜあの人は「がさつな声」なのか――
たっぷり1時間半、説明だけでなく一緒に練習もするので、お楽しみに。
【第6回ことば学講座】
日時:2010年5月29日(土)16:00〜17:30
晩餐会(夜の部)18:00〜20:00
場所:メイフェア
料金:講座3,000円、晩餐会4,000円
お申し込みは会場の「メイフェア」までお電話を(025-211-7007)。
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